事業内容:
Webシステムやスマホアプリの開発、クラウド・インフラ構築などを手がけるソリューション事業と、SESや人材紹介・派遣を行うヒューマンリソース事業を展開。要件定義から運用まで一貫支援し、開発力と人材力で企業の成長をサポートする
— 約半年前に導入いただきました。導入時の課題をお聞かせください。
今年で創業14年目。偶然手にした『すごい会議』コーチの書籍をきっかけに、会議の存在を知りました。その後、千葉さんと食事会でご一緒したのがご縁です。
私が課題に感じていたのは、これまで「意図のない成功体験」を積んできてしまったことでした。幸運なことに、創業以来、比較的売り上げは安定し、危機的状況に陥ったのは過去に一度だけ。人材採用も人が自然と集まって採用に至るケースが多く、あまり苦労せず、成功の因果をつかむことがないまま現在に至ってしまったんです。
とはいえ、業績は踊り場状態が続き、上昇気流に乗せられる計画もない。営業活動は属人的で、私が延々と新規開拓を続けるような状態でした。
この先の組織成長をどう描き、道筋をつくればいいのか、社員はもとより私自身も未来が見えず、漠然とした不安を抱えていたように思います。
— どのような組織をつくりたい、という思いがありましたか。
私は大手WEBサービス会社の出身で、若手時代はひたすら仕事に熱中する日々でした。チーム一丸となって邁進し、ゼロから事業を立ち上げて成功を目指す。正直、仕事はハードでしたが、それ以上に刺激的で非常に充実した会社員生活でした。
経営者となった今、私が本当に気になっていたのは、売り上げや規模の拡大以上に、かつて自分が味わった仕事への「熱狂」体験を従業員に提供できていないこと。彼らに、もっと生き生きと働く喜びを味わってほしい。
とはいえ、どうすればそんな組織をつくれるのか具体策がわからず、プロの力を借りる必要性を感じて導入しました。
— この半年で、どのような成果・成長が生まれましたか。
まず、セッションメンバーが明らかに変化しました。受け身で言われたことをこなすだけだったのが、自分で考えて仮説検証し、組織の「主人公」として動くようになったように見えます。
私が言うには、その起点は「目標」です。過去の倍の売り上げを目指す目標は、一見すれば夢物語に見えますが、彼らがエキサイトして合意した目標。私が当初想定していた目標値を、はるかに上回る数字でメンバー自らが提案し始めました。
私に言われてやるのでなく、自分たちで設定できたことが所有感につながったのでしょうね。その先の自分の成長やキャリアアップがイメージでき、体感を伴う当事者意識が根付き始めたのだと思います。他部署の仕事に関しても「自分に何ができるか?」と、助け合う一体感が生まれました。
今は、あるセッションメンバーから「部活のときのように青春しているみたいだ」という声も聞こえ、挑戦そのものを楽しむ雰囲気が広がっています。
— 数字の面での成果はいかがですか。
達成にはまだ壁があるものの、導入前に目指していた売り上げはすでに射程圏内。過去の停滞を突破しつつあります。
転機は、エンジニアが当事者意識を持って営業をし始めてくれたこと。これまでは、営業とエンジニアの間に溝があったのが、チーム一丸となって目標を追い始めたことで「自分に何ができるか?」と、全員が協力体制で動き始めたのが最大のポイントでした。
さらに、高い目標を掲げ「達成する」と決めたことで、『見ようと思った未来しか見ない』という人間の習性がうまく作用しています。共通の未来をチームで描けたことが、成長を加速させている要因です。
— 人材育成に関して、どのような発見がありましたか。
やはり仕事は「きつい方がいいのだ」と、確信めいたものを感じました(笑)。人は、楽な環境ではなく“期待されて責任を背負い、その結果を正しく評価されて賞賛される”ことで成長していくのだと思います。「お前がやらなきゃ誰がやる」と、挑戦させ、信じて見守る場を経営者はつくるべきなんです。
この会議を機に社員が思いがけない一面を見せることもあり、いかに彼ら本来の力を引き出せていなかったかに気づかされました。
「『すごい会議』は大変でしょう?」と聞かれることもありますが、むしろ違いがなさすぎて、私も社員も飽きていたのかもしれません。経営者は社員に「違いのある未来」を見せなければならないと、改めて痛感しました。
— 印象的なセッションと言えば、いつが思い出されますか。
その名も「ニーズキャッチ運動」。目標に対するKPIをどう設計するかの議論で、結局のところ「お客様の真のニーズを引き出すことにある」と、原点に立ち返れた。千葉さんからのアドバイスがきっかけです。
多くの場合、私たちシステム会社は「このシステムを作ってほしい」という顧客の要望に沿って仕事を進めますが、お客様はシステムのプロではないので要望が解決策になっていないこともある。それでは意味がないですよね。
顧客のニーズキャッチ数をKPIに設定したことが、転機になりました。
以前は、酒井さんがほぼすべての相談案件をつくり出していましたが、ニーズキャッチを意図して以来、月に約50件のニーズを現場のエンジニアがお客様から吸い上げられるようになりました。
— 『すごい会議』だから取り組めた問題解決があればお聞かせください。
私とNo.2のエンジニアとの関係ですね。彼とは17年一緒にやってきましたが、私は直感で進みたいタイプ、彼は不確実なものを嫌うタイプで、営業とエンジニアの立場の違いもあり、意見の食い違いが続いていました。
『すごい会議』では、まずその「ひどい真実」をテーブルに出すことから始めました。私から彼へ、彼から私へ。その上で「自分に100%責任がある」という前提を共有することで、責任を押し付け合うのではなく「達成のために自分ができることは何か」と、互いに自責で支え合えるようになった。
当初は導入に反対していた彼も、今では「(会議を)全社員が受けるべきだ」と言うほどです。プロジェクトマネジメントの枠組みに納得し、成長への手応えを感じたんじゃないかな。
エンジニアチームの4名も急成長を遂げ、彼自身もリーダーシップを一段と発揮しています。以前は彼がいないと回らなかった現場が、自律的に動くチームへと変わりつつあります。
— 改めて、『すごい会議』を通じて酒井社長は何を体験しましたか。
他人のことは客観的に見えても、自分のことは見えにくいものだと思い知りました。特に、起業してトップになってからは誰からも指摘されなくなり、自分を見直すことを怠けていたんです。
でもこの会議は、会社と向き合う場。経営者にとって会社は自分自身であり、そこに正面から突っ込んでくれるコーチがいる。
改めて自問自答すると、私は営業のトップとして「自分がいないとダメ」な状況をつくり、承認欲求を満たしていたのかもしれない。あるいは、ただプライドを優先していただけかもしれない。もっと「経営者」の仕事をすべきだ──そんな思いに至りました。
正直、自分の弱さや未熟さと向き合うことは楽ではありませんが、そこを超えなければ未来はない。私にとって、またとない機会になりました。
このチームの強みは、素直で真面目なメンバーの方が多いこと。そこに酒井さんのパーソナリティが組み合わさり、各メンバーのポテンシャルが最大化されているように見えます。
酒井さんは、メンバーのことを一切否定せず、常にメンバーの変化や成果を承認します。その上で、前向きにプッシュし続けるからこそメンバーが社長を信頼し、その意思決定を「正解」にしようと動く。リスペクトを基盤にした好循環が広がっています。
— これまでの体験を通して「『すごい会議』とは何か」と問われたら、どうお答えいただきますか。
頭でわかっていることを実際に「できる」状態まで引き上げてくれる仕組みです。多くの経営者は一般論として「こうすべき」と語れても、自分が実行できているかは別問題。私自身、さまざまな「ひどい真実」から目をそらしてきました。
でも、この場ではその現実をテーブルに上げ、具体的な行動に落とし込める。一人で自分を変えるのは難しいからこそ、第三者であるコーチの存在が助けになります。
コンフォートゾーンを出る苦しみはあっても、続ければ必ずイノベーションが起きて社員も自分も幸せにできる。私にとっては「経営者自身を変革する仕組み」です。
— いま一度、千葉コーチの魅力を教えてください。
千葉さんがいなければ、ここまで辿り着けませんでした。当社には千葉さんと同世代のメンバーも多く、その目線の近さがフィットしています。その上、驚くほどしっかりしていて剛柔のバランスが素晴らしい。
私にとって千葉さんは「相棒」のような存在で、何でも相談できて誰よりも真摯に会社に向き合ってくれる。信頼しています。
— どのような企業・経営者にこの会議をおすすめしますか。
おすすめしたいのは「俺はわかっている、できている」と、思い込んでいる経営者ですね。私がそうであったように、そういう人ほど自分を変えられず、成長の壁に直面している確率が高いと思います。
本気で会社を進化させたいなら、『すごい会議』は強力に機能するはずです。
— 貴社の今後のビジョンをお聞かせください。
今後半年間は業績目標の達成を目指しつつ、メンバーが主体的に動ける組織へと進化させていきます。営業や採用、教育育成も変革の最中なので、各自が自分でPDCAを回し、改善を積み重ねられるようになるのが理想です。筋トレを自分で続けられるようなイメージですね。
その先は小さな成功体験を積み重ね、「昨日より今日、今日より明日」と成長が連鎖する組織をつくっていきたい。それができれば、業績や組織は自然と拡大するはずです。
私にとっては、売り上げや規模の拡大以上に社員が生き生きと働く姿を見ることが喜びです。一人ひとりが挑戦を重ね、成長し続ける文化を育てます。
— ありがとうございました。
( 取材日:2025年8月13日、場所:スマートソーシャル株式会社、インタビュアー:渡辺恵)
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