事業内容:
フリーランス育成スクール「ウェブフリ」などフリーランス向けコミュニティを運営。Web業界未経験者を対象に、フリーランスとして活躍するためのIT人材育成に特化したカリキュラムを提供する。専属コーチとのセッションで理想のビジョンを明らかにしながら、短期間で案件を獲得する実践的コツも伝授。自己実現のためのスクールとして人気を集める
— 約1年前に導入いただきました。導入時の貴社の状況を教えてください。
2021年に会社を興し、3期目に入ります。売上利益の拡大と事業を担うマネージャーの人材育成を目的に導入を決めたものの、実際は、会社の今後をどう方向づければいいのか、私自身が答えを見出せない状態でした。
記憶にあるのは、セッションに誰を呼びたいかと新垣さんに聞かれて「誰もいない」と答えてしまったこと。
大半の社員が業務委託契約ということもありますが、HATCHの未来を真剣に考え、『ずっと働き続けたい』と、本気で思ってくれている仲間がいるとはどうしても思えなかった。同時に、仲間を信用できていない私自身に気づき、悲しさを覚えました。
— 新垣コーチは、このプロジェクトで何にコミットしましたか。
セッションの初日に僕が感じたのは、『絶対にこの人たちを「チーム」にしなければ』ということ。つまり僕にはこの組織が「チーム」には見えなかったんです。
仲はいいけれど個人で仕事をしていて、どこか気を遣いあっている。事前のヒアリングからも、渡邊さんの「呼びたい人がいない」という発言からも感じました。
まずは半年間の経営目標をつくり、達成を目指して全員で走り切る。プロジェクトのコードネームは「涙の乾杯」。涙を流して全員でやり切ったと言える半年間にしたいと、渡邊さん自らが提案しました。
と同時に、「すごい会議」のメソッドの全社浸透を狙い、経営チーム以外の複数の事業部でも「すごい会議」のプロジェクトチームを同時多発的に起動させました。
個々の事業部の目標も、すべては経営目標を達成するためにある。その連動性を繰り返し伝え、“あなたたちのチーム”を醸成することにフォーカスしたんです。
— 導入の結果、これまでにどんな成果が生まれましたか。
最初の3カ月間は、会社の問題というより私自身の問題と向き合っているようで苦しかったですね。新垣さんからのフィードバックに、意思決定者として向き合い続けました。今思うと、私が「問題」をネガティブなものとして捉えていたことが苦しさの一因だったと思います。
1年が経った今、私を含めて「問題」の捉え方が180°変わり、驚くほど「問題解決」を楽しめる組織に変われた。「問題」は悪ではない。「自分に責任が100%ある」ことを前提に、ただ解決策を探せばいい。新垣さんがいなければ生まれなかった思考です。
「ひどい真実(会社や自分の)」に踏み込み、正面から向き合い続けたことで、「問題」を恐れない私たちになれました。
私はプロジェクトを管理するPMO(Project Management Officer)として、途中からセッションに参加しました。実感するのは思考の変化です。
“経営とは何か”すら知らないまま走り続け、気づけば何億という会社に成長する一方で、その現実についていけない感覚もあったんです。
そんなときに、新垣さんから経営の基礎や世の中の基準、他社のケーススタディをイチから学ばせてもらえた。自分がどれだけ井の中の蛙だったかを理解し、より俯瞰的な視点で考えられるようになりました。
— 他の参加者の人材成長をどのように実感しますか。
会話のゴールが変わりましたね。あいまいにせず、「どうすれば解決できるか」「誰がいつまでに何をするか」を明確にして、すべての会話が完了します。突っ込んだ会話をすることが癖になり、以前はどんな会話をしていたのか思い出せないくらい(笑)。
ほぼすべての事業部にセッションを導入したことで、「すごい会議」のメソッドが完璧に共通言語化されました。みなさんが素直に受け入れてやり切ってくれるので、定着率も非常に高い。意図した通り、コミュニケーションスピードの早い組織になりました。
— 売上利益にどのような成果が生まれましたか。
「涙の乾杯」の完了期日までに、半年で売り上げが3倍に伸びました。目標の数字には届かなかったものの、全員で同じゴールを見て走れたからこその成果。目標を立てる意義としての「実現可能性の最大化」を体験させてもらいましたね。
無謀とすら感じた目標が手の届く距離に変わったのは、間違いなく「すごい会議」の効果。周りをエンロールする渡邊さんの影響力も大きく、彼女の語りかける言葉が一人ひとりの心に届き、達成への原動力になったはずです。
— 人を動かしエンロールする行動は、何を起点に生まれましたか。
意思決定者のポジションを経験して気づきました。私が興味があるのは、売り上げの数字以上に、“仲間とどんな世界を実現したいか”だ、と。
誰がどんな表情で仕事をしているか、どんな感情を抱いているのか。「人」に目がいってしまうからこそ、一人ひとりを勇気づけながら全員で達成したい。私は「人」にフォーカスしたやり方で進めばいい、そう思えて初めて自信が持てました。
「涙の乾杯」という覚えやすいキーワードをつくれたことも求心力につながりましたね。「達成に向けて頑張ろう」とみんなが言ってくれるのがうれしくて、気づけば自分から語りかけていました。
導入当時、会議に呼びたい人がいないと感じたのは、他でもなく私自身が“開いて”いなかったから。
今はHATCHにいる「人」が何より大切で、彼らがいなければどんなビジネスも楽しくないとすら思う。弱点を認め、強みを生かしてチームになれれば、楽しみながらパフォーマンスも上がる。「すごい会議」で生き方を変えてもらったような感覚です。
— 思考が変わり、成果が変わる。「すごい会議」の何が影響しましたか。
新垣さんの存在です。ここまで深く、私たちの成長にコミットしてサポートしてくれるとは想像もしていませんでした。
HATCHは20代の社員ばかりで、経営経験がある人もほとんどいません。新垣さんとの出会いで、過去の経営はおままごとだったのではと感じるほどに基準が上がり、成長させてもらいました。
フレームワークも大きいと思います。例えば、「提案・リクエスト・質問」「事実と解釈」といったフレーズや定義が浸透したことで会話のレベルが上がりました。コミュニケーションが取りやすくなり、フィードバックにも「提案があります」と、定型のフレーズを使うのが今では当たり前。KGI、KPIなどの視点で考えられるようになったことも、顕著な変化ですね。
— コーチから見て、このチームの成長ポイントはどこでしたか。
このお二人の著しい成長です。フィードバックしたことを素直に聞き入れて自分を変えようとする姿勢が素晴らしい。
渡邊さんは自分にできないことがあると認めた上で、いかに強みを生かして組織に貢献するか。人を巻き込む力を存分に発揮する姿が最高でした。大塚さんは、ほぼ全プロジェクトのPMOを務めていたほど数字に強い。数字からのアプローチで、組織をシンプル化していく力がずば抜けています。
違う強みをもったお二人をツートップに、新たな文化が花開きました。
— 大塚さんが感じる、PMOの面白さや喜びを教えてください。
数字を見て、どこに問題が起きているか、仮説を立てて見つけにいくことが好きなんです。それを起点に担当者とコミュニケーションしながら、効果を検証していける点も面白みの一つ。
私はトップとして人を引っ張るよりも今の役割が好き。求められる私のバリューはここなんだ、と、喜びを感じる仕事ができています。
— 意思決定者のポジションを経験して、お二人が得たものを教えてください。
責任の重さや覚悟を味わったからこそ、意思決定者が誰であってもその勇気ある決断を自分ゴトとして担い、できることを全力でやり抜こう、と思えるようになりました。
また、「違い」を受け入れられたことで、大袈裟でなく人生が変わりました。「正しい」「正しくない」というジャッジや思い込みがあることに気づき、それを手放せた。「違い」のある意見を尊重したいと思えるようになり、他人の意見を聞くのが楽しくなりましたね。
こんなにも生きやすくなったことに、私自身が驚いています。この会議には感謝しかありません(笑)。
「やめる」または「やらない」勇気を持つ大切さを実感しました。担当者がコミットメントを全力でやり遂げようとする一方で、それが本当に達成に効果的なのか、と立ち返る思考も意思決定者には不可欠。
目標を指針に、あいまいななかでも意思決定し続ける難しさと今も向き合い続けています。
— 新垣コーチはお二人にとってどんな存在ですか。
新しい風、です。考え方や基準の高さ、自分たちだけでは知り得ないことをこの組織に運んできてくれました。
いい意味でコーチっぽくなく、なんでも話せる存在。些細なコンディションの乱れにも気づいて声をかけてくれるので、「そこまで見てくれているのか」と驚くと同時に、意思決定者として自分を整える重要性を教えてもらいます。
新垣さんと会話をすると自分の課題もクリアになる。大切なのは「人」ですね。
社内のメンバーが言いにくいようなことを、言うべきときに言ってくれる存在です。私たちをうまくいかせる方法だけを選択してくれるので、信頼しかない。しかも問題解決を心から楽しめる私たちにしてくれた。
「チーム」なんてない、と感じていた私がこれほどチームの喜びを味わえているので、孤独な経営者の方には「すごい会議」がおすすめです。
『フリーランス革命で未来にわくわくできる社会を実現する』というビジョンの実現に向け、仲間と共に、フリーランスのコミュニティづくりに力を注いでいきます。
— ありがとうございました。
( 取材日:2023年11月28日、場所:株式会社HATCH 本社、インタビュアー:渡辺恵)
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