事業内容:
総合不動産企業として、リファイニング事業を中心にプロパティマネジメント、インベストメント、宿泊、飲食、福祉など多角的な事業を展開。都心部の商業不動産に特化したバリューアップ手法で多数の実績を持ち、「住」に関わる人々の暮らしと人生を豊かにすることを使命に持続可能な企業成長を目指す
— 『すごい会議』の導入から約半年が経ちました。導入の前段階として、久保田コーチの個人コーチングから始めたそうですね。
久保田さんとの出会いは、数年前。株式会社ゼニアスの坂口社長からのご紹介でした。すぐにでも「会議を試したい」と思ったものの、当時は僕も組織も非常に未熟で、経営チームを組んで走れるような状態ではなかったんです。
『すごい会議』の導入を先々に見据え、まずは久保田さんの個人コーチングからスタートしました。
— 個人コーチングに期待したことを教えてください。
過去の事業での失敗経験から、僕のなかには「会社を拡大すること」への恐怖心が残っていました。社員を抱える重圧や人が辞めていく不安が拭えず、しばらくは少人数体制で経営を続けていたんです。
そんな折に、数億円規模の純利益を生む物件を手に入れ、「このまま個人規模で続けるか、それとも仲間を増やして再スタートを切るか」と、自問しました。
確かなのは、僕は“建物”が好きだということ。次世代に残るような建物をもっと手がけたい。その実現には、仲間の存在が欠かせない。
「もう一度、組織拡大に挑戦しよう」。そう決意したタイミングで久保田さんと出会い、『すごい会議』が、まるで“光”のように感じられました。
とはいえ、すぐの導入は難しい。まずは自分自身と向き合い、次のステージに進む覚悟を固めるために個人コーチングをお願いしました。
僕としては、「この社長をなんとか支援したい」という気持ちで、個人コーチングを提案しました。『すごい会議』に限らず何かしらの形でつながっていたい、そんな想いからの始まりだったと記憶しています。
— 『すごい会議』は、何を照らす「光」だったのでしょうか。
経営者として、自分の仕事には強くコミットできても、その想いを他のメンバーに伝え、同じ熱量で動く組織をつくることの難しさを感じていました。
その点で、『すごい会議』は、自分以外のメンバーにも自然とコミットメントを促せる仕組み。坂口社長の話からも、「経営者のやりたいこと」を形にできる会議だと受け取りました。
たとえ、その「やりたいこと」を貫く過程で人が離れても、それは自然な“新陳代謝”。「同じ船に乗れる仲間とだけ進めばいい」──拡大への恐怖が、希望に変わる予感がしました。
— 個人コーチングを通して、どのような気づきがありましたか。
個人コーチングを通じて、自分が「できない言い訳」を並べていたことに気づかされました。設定した目標はどれも難易度が高く、久保田さんから「あれはどうなっていますか?」「ではこれは?」と、問われるたび、思わず言い訳を口にしてしまう自分がいたんです。
「自分は、まだまだできていない」と痛感し、以来、言い訳をするのをやめました。
また、以前の僕は、社員に自分の価値観や理想を押し付け、画一的な成果を求めていましたが、個々人に適した役割や評価軸を設けることが、健全な組織づくりに欠かせないということにも気づかせてもらった。
自分の思考のクセやコミュニケーションのミスにも気づき、社員への接し方が大きく変わりました。
— 数回の個人コーチングを経て、数年前にも『すごい会議』にトライされたそうですね。
過去に一度、『すごい会議』にトライしましたが、結果は失敗。初回のセッションを終えた時点で中断し、再び個人コーチングに戻すことに。そこで痛感したのは、僕自身の“甘さ”です。僕がやり切る姿勢を示せなければ、周囲のメンバーが本気になれるはずもない。
同時に、真剣に経営チームをつくるには「この会社は何のために存在しているのか」という本質的な問いに、僕自身が向き合い直す必要があるとも感じました。それを言語化し、周囲に伝えてこそ、全員が腹落ちして本気で取り組める目標が見える。
あの経験が、ターニングポイントでした。
— 「なんのための法人なのか」という問いに対して、考えが変わる大切なきっかけがあったと伺いました。
子会社の社長を務めるメンバーに病気が見つかり、余命が限られていることが判明したんです。
「この会社でこれを成し遂げた」と言える何かを、彼に残させてあげたい。その強い想いが、会社の存在意義を見直す大きなきっかけになったことは、間違いありません。
— 久保田コーチとの出会いから数年。改めて、半年前に『すごい会議』を導入いただきました。なにが再挑戦の決め手になりましたか。
経営チームとしての人材が、完璧ではないにせよ、そろいつつあったことが決め手です。どんな人材をどう配置するか、個人コーチングを通して準備できたことで「今なら始められる」と、確信して始めました。
— 『すごい会議』開始時は、久保田以外のコーチにもお会いいただきました。でも、「久保田と」やりたい。何が魅力でしたか。
久保田さん以外は考えられなかった。たとえ、他のコーチの方が割安でも、です。
最大の理由は、個人コーチングを通じて自分自身が変わったと実感できたからですね。10年以上の経営経験で築いた僕のプライドを、いい意味で壊してもらった。
久保田さんの魅力を言語化すると、「熱さ」と「冷静さ」のバランスかな。常に本質を見失わず、議論の軸を原点に戻してくれる。僕が感情的になってしまうような局面でも、冷静に問い直し、真っ向から問いをくれる貴重な存在です。
— 「プライドを壊される」体験。抵抗はありませんでしたか。
逆にうれしかったというのが本音です。以前は、他人の些細なことも許せない自分がいて、部下にも家族にも厳しく接しがちでした。
部下ができないことが理解できず、「なぜ、できないんだ!」と、怒りのコミュニケーションを取ってしまっていたんです。
『なぜ、こんなにうまくいかないのか』──その原因も解決策も自分自身にあると気づき、大げさではなく、僕の人生は変わりました。
— 満を持しての始動。『すごい会議』で立てた目標は、どのような価値がありましたか。
これまで当社は、明確な「目標」を定めずに事業を進めてきました。しかし、15期目を終えた今、「目標」の持つ意味と重要性を強く実感しています。
「ここを目指す」と、全員で決めたゴールがあるからこそ、明確な判断軸と納得感を持って前へ進める。そこで生まれる社員の目の輝きや、推進力の強さに驚きを感じています。
— ここまでの半年で、どのような成長・成果が生まれましたか。
最大の変化は、人材の成長です。以前の当社は「やり抜く」力が弱い組織でしたが、今では一人ひとりが「どうすれば達成できるか」と思考し、着実に結果を残せるようになった。
象徴的なのは、期末直前の行動でした。決算日の3日前まで目標達成が確定しないなか、営業とプロジェクト推進部のメンバーが最後まで諦めずに粘り、ラスト3日間で見事に達成。
『すごい会議』がなければ、そもそも本気で数字を目指すこともなく、早々に諦めていたはず。売上は前期比で2倍以上、利益は10倍以上という飛躍的な成果も生まれました。
僕にとっては、こうした数字以上に「やり切る文化」が組織に根づいたことに価値がある。自ら考え、最後までやり抜くマインドが育ったことが、この先の未来への金脈です。
— 開始からどれくらいの期間で、参加者のみなさんの変化を感じましたか。
予想以上に早く彼らが覚醒し、3回目のセッションが終わる頃には、経営メンバーとして「同じ船に乗る」状態が整ったような印象でした。初回からスイッチが入ったメンバーもいれば、コミットできずに離脱するメンバーもいて、高い温度感の人材がそろったのがその頃。
誰がどこまで本気で「やり切る」人間なのか。明らかになったことで人材の配置転換が進み、各自の役割が明確になった。コミットメントの強いチームになりました。
多くの企業は、各部署の「役割」が不明確なまま活動しています。営業や製造といった数値化しやすい部門はまだしも、コーポレート系の部門など、重要な役割ながらも指標が曖昧なケースは実に多い。
その点、『すごい会議』は明確に目標を置くので、何をKPIに置くか、自分はどんな力を発揮すべきか、成長に向けた「自分の仕事」が明確になる。推進力が格段に上がります。
— 数カ月前から、経営チームの他に3つの『すごい会議』プロジェクトを開始したそうですね。狙いをお聞かせください。
『すごい会議』に参加する経営陣とそれ以外のメンバーとの間で、会社や仕事に対する温度差が目に見えて広がり始めたことが、きっかけです。経営陣が『すごい会議』のお作法やルールを徹底してパフォーマンスを向上させる一方で、他のメンバーはその文化に触れられない。
「もっと広く、社員に『すごい会議』を体験させるべきだ」
①営業・プロジェクト推進 ②人事・総務・経理 ③飲食事業 の、3つのプロジェクトを追加しました。特に力を入れているのは、バックヤードの②。人を採用育成し、適材適所に配置する重要性を感じています。
また、飲食事業が軌道に乗れば、僕のリソースを他に割ける。営業は、シンプルに成長を加速させるために開始しました。
— 開始から間もない3チームですが、どのような効果を感じていますか。
なかでも、②の人事・総務・経理チームの成長が目覚ましく、目標達成に向けて本気で取り組む姿勢が日々の言動から伝わります。僕に代わって意思決定者を務める本部長の成長も素晴らしい。『すごい会議』が、人材育成に効果を発揮しています。
— 『すごい会議』以外の場で起きている変化には、どのようなものがありますか。
目標達成への意識が高まり、「どうすればこの目標を達成できるか」という思考が徹底されるようになりました。問題が起きたときに「できない理由」でも「誰が悪いか」でもなく、「どうすればできるか」だけを考える。
また、「発言のフォーマット」を日常的に活用することで、社内のコミュニケーションもよりスムーズに。会議以外でも『すごい会議』メソッドが行動レベルで根付いています。
「自分たちは成長している」という確かな手応えが、彼らをより前向きに動かしているんじゃないかな。
— 『すごい会議』を入れなければ取り組めなかった、という問題解決があればお聞かせください。
ときに経営現場で最も難しいのは、「能力はあるが、組織に本気でコミットできない人材」への対処です。組織成長にアクセルを踏む局面で、そうした存在が経営メンバーにいると、確実にボトルネックになる。
当社でも同様の課題はあったものの、僕自身がなかなか決断できずにいました。しかし、『すごい会議』でコミットメントを管理することで、「コミットしていない」事実が浮かび上がり、久保田さんが即座にメスを入れてくれた。
人材配置にテコ入れできた瞬間、「会社が変わる」と、予感しました。
外部の冷静な視点が介在することで、フタをしている問題が浮き彫りになる。変革の起点は往々にして、言いにくいことを言うことにあるのかもしれません。
— 個人コーチングも含めたこれまでの『すごい会議』にまつわる体験で、最もうれしかったことをお聞かせください。
僕自身が「できないことなんてない」という気持ちになれたことが、最大の喜びです。目指す未来がはっきり描けていて、その実現を確信できている。想像以上の「今」が生まれています。
— 『すごい会議』を知らない方に、「すごい会議とは?」と質問されたら、どうお答えいただきますか。
とにかく、「すごい」から受けてみなさい、と(笑)。自分がどうありたいか、どうなりたいか、そのために何をすべきか。コーチの問いかけを起点に自問自答し、再認識することでクリアになる。すべてはそこから始まります。
— 久保田コーチは、どのような企業・経営者にマッチしそうですか。
強力なトップダウンでワンマン経営を進めてきた経営者に合うでしょうね。社長自身が強い営業力を持ち、そのマンパワーで成り立っているような組織を『すごい会議』で爆発させる。
「一人では行けそうもない次のステージに進みたい」というビジョンがあるなら、『すごい会議』は効果的です。
導入する前と後とでは、当社の雰囲気も経営メンバーの表情もまったくの別物。今の当社は、間違いなくいい状態です。
— 目指す方向性が「よりクリアになった」うえでの、貴社のビジョンをお聞かせください。
描くビジョンの原点には、先述の亡くなった社員への想いがあります。当社のビル開発の第1弾と言える案件を、テナント誘致までやり遂げ、成功を見届けた直後に彼は他界しました。
よくあるショッピングモールでも空洞化したビルでもなく、街にとって、かかわる人にとって本当にいい建物をつくれたからこそ、その後の売却にも成功。大きな利益を生む形で僕たちを後押ししてくれました。
「こういう建物をもっと増やし、世界を少しずつ変えていこう」──この体験が僕のビジョンの原点であり、彼とともに開発を手がけたメンバーにも想いは引き継がれています。
僕たちの構想に共感してくれる建築家と建物をつくり、その想いに共鳴する投資家へと橋渡しする。いわば、建築家と投資家の「ハブ」として、街の価値や人々の暮らしに本質的な影響を与えるような建物をつくる。その先の“街づくり”が、僕たちの挑戦です。
経営者であるからには、社会に貢献し、なくてはならない存在に必ずなる。坂口社長の言葉通り、まさに、『すごい会議』で人生が変わりました。
— ありがとうございました。
( 取材日:2025年5月9日、場所:株式会社ブッシュクロフィード 、インタビュアー:渡辺恵)
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