部下やチームを巻き込むために

部下やチームを巻き込むために

こんにちは。コーチの梨木です。

「経営幹部メンバーに何を期待していますか?」

複数のクライアントの社長にこの質問をしたところ、「幹部以外のメンバー(部下やチームなど)を巻き込んでいってくれること」という共通の回答をいただきました。

また「現状はなかなか上手く巻き込めていない」とも。
ではなぜ、部下やチームメンバーを巻き込んでいくことが難しいのでしょうか。

理由を尋ねてみると、
「幹部社員と幹部以外のメンバーとでは『考え方』が違う」、「モチベーションに差がある」
だから思うように動いてくれない、という声が聞こえてきました。

事実そういうこともあるかもしれません。
ただ、それを前提としても、可能な限り巻き込むコミュニケーションを取っていけないか。

そのヒントとして、「原因論」と「目的論」という話が使えそうです。

ちょっと実際のシチュエーションを見てみましょう。

 

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<原因論の場合>

幹部A:「新しく◯◯をやっていこうと考えてる。Bさんには△△をしてもらいたい」

部下B:「私は今やっている□□という業務があるので、できません」

幹部A:
(Bさんはいつも新しいことをやりたがらないなあ。業務内容が変わるのが嫌なのか、忙しくなるのが嫌なのか・・・困ったものだ。)

「忙しいのはわかるけど、もっと新しいことにもチャレンジしないと成長しないよ。〜〜〜」
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あまり気持ちの良い流れになったとは言えないですよね。
ここで、見てもらいたいポイントは、Bさんの発言に対するAさんの思考です。

Aさんは、Bさんの発言に対して、『きっと今やっている仕事以外やりたくないか、新しいことが嫌なのか、業務が増えるのが嫌なのか…。』と思考していますね。

これがどこから来たのか、それは、Aさんが、
「Bさんの発言の『原因』は何か?」と思考した結果と言えます。原因論で考えると、「〜したくないから、〜できないからこの発言をしている」という見方が生まれるからです。

 

そこで、次に、「Bさんが何かの『目的』のためにこの発言をしているのか?」という目的論で思考してみてください。

つまり、「~したくないから、〜できないからこの発言をしている」ではなく「~する(得る)目的のためにこの発言をしている」と置き換えてみます。

 

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<目的論の場合>

幹部A:「新しく◯◯をやっていこうと考えてる。Bさんには△△をしてもらいたい」

部下B:「私は今やっている□□という業務があるので、できません」

幹部A:
(なるほど。Bさんは今任されている役割でしっかり結果を残したいんだろう。責任を持って取り組んでいるんだな。)

「責任感があって素晴らしいね。でもそれと同じくらい△△という仕事はBさんにしかできない重要な仕事だと思っている。〜〜〜」
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前者のケースでは、原因論的に考えた結果「相手は新しい業務をしたくないに違いない」と捉えていたのに対し、後者では、目的論的に(無理にでも!)考えた結果「相手は今ある役割の責任を果たしたいに違いない」と捉えられたというケースです。

事実としての発言の真意は、本人に尋ねない限り分かりません。

ただ、受け止める側の捉え方を変えると、次に発する「言葉」が変わります。

その結果、ネガティブな言葉が、ポジティブに転換する可能性もあり、上司から掛けられる言葉が変わると、相手の反応も変わるのが自然です。

掛ける言葉を変えることで、部下が気持ちよく新しいことに取り組んでくれる、こちらのリクエストに応えてくれるとしたら、それは儲けものですよね。

うまく巻き込みにくい方とのコミュニケーションに、一度活用してみてください。